認可保育園に入るには、決められた期日までに必要書類を揃えて、その保育園がある地域の役所に提出する必要があります。
この申し込み書類をもとに、より保育の必要性があると判断される家庭および子どもから、保育園に入園することができます。
申し込みの際には、自治体ごとに定められた「指数表」をもとに、各家庭で自分の世帯点数を算出して提出します。
この指数(点数)の高い順から、「保育の必要性」の有無とその重要度が判断され、保育園への内定が決まるか、保留となるかが決まります。
指数の配点や判断基準となる項目は各自治体で異なりますが、それ以前に「保育の必要性」を計るために、児童福祉法に基づいて国が定めた基準が前提として存在します。
以下は、前提となる「保育の必要性の事由」を定めたものです。
以下のいずれかの事由に該当すること ※同居の親族その他の者が当該児童を保育することができる場合、その優先度を調整することが可能 (1)就労・フルタイムのほか、パートタイム、夜間など基本的にすべての就労に対応(一時預かりで対応可能な短時間の就労は除く) (2)妊娠、出産 (3)保護者の疾病、障害 (4)同居又は長期入院等している親族の介護・看護・兄弟姉妹の小児慢性疾患に伴う看護など、同居又は長期入院・入所している親族の常時の介護、看護 (5)災害復旧 (6)求職活動・起業準備を含む (7)就学・職業訓練校等における職業訓練を含む (8)虐待やDVのおそれがあること (9)育児休業取得時に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること (10)その他、上記に類する状態として市町村が認める場合 |
以下の条件に当てはまる場合は、「保育に欠ける状態」とみなされて保育を受けることができるとされています。
ただし、これらを満たしていても、入園希望者が多い自治体では世帯ごとの指数をもとに入園する優先順位が決められるため、自治体ごとの受け皿の数や世帯指数によっては待機児童になってしまうこともある、というのが現状です。
次からは、この現状を踏まえたうえで「保育園に入るには」どうすればよいか考えていきましょう。
希望の保育園に入るには、入園の確率を上げるための工夫をすることが大切です。自分でできる工夫について、もともと持っている条件をより強化するといったイメージで見ていきましょう。
4月入園が難しい場合は、途中入園を視野に入れるという手段があります。
自治体では、毎月の認可保育園の空き状況が公表されています。自治体のサイトで空きをこまめにチェックすることで、希望の保育園への途中入園を果たすことができるかもしれません。
特に途中入園がしやすい時期は、5月・9月・10月と言われています。
5月は、内定辞退が出ることで空きが出る可能性があり、特に育休期間が残っている0歳児クラスにこの傾向が多く見られるようです。
また、転勤・異動が多いという理由で、9月~10月も空きが出やすい時期と言われています。
キャンセルが出る確率が高い年齢は、内定後に気が変わり自宅保育を選択する可能性がある0歳児、幼稚園に転園する可能性がある3歳児であるようです。
認可園に入園できなかった場合、空きが出たタイミングでの途中入園を狙いながら、並行して認可外保育園やベビーシッター制度を利用する方も多いようです。
これは、認可園に比べて融通がききやすい認可外園にあえて預けることで、子どもを保育園の生活に慣らす意図もあるようです。
また、多くの自治体で、認可外園の利用実績があることで指数がプラスできるため、これを活用して加算に成功している方も多いようです。
ただし、この加算については、自治体内にある施設を利用しないと対象にならない場合や、待機児童が少ない自治体では加算にならない場合もあるため、該当する指数表をしっかり確認してみましょう。
居住地域が激戦区でも、すぐにあきらめることはありません。この場合は、職場のある市区町村の状況を見てみましょう。
勤務先が都心のオフィス街などで、待機児童がゼロだったり少なかったりする場合は、勤務地の近くの保育園入園に照準を合わせるという手段もあります。
この場合の注意点は、両親の勤務地が離れていれば送迎がどちらかの負担に偏ってしまうことと、「居住していない」ことで、自治体によって指数が減点される可能性があることです。
また、ラッシュの時間帯に電車やバスなどの公共交通機関で通勤する場合は、子どもを連れて混雑に巻き込まれることを想定する必要があるなど、現実的に難しいケースも考えられるでしょう。
保育園の入園は自治体ごとに決められるため、居住地域によって入園のしやすさが変わります。
交通アクセスが便利・都心に近く住みやすい郊外の住宅地といった若いファミリー層に人気の地域・子育て支援に力を入れている自治体は、競争率が上がる傾向があります。
また逆に、保育園の軒数が少ない・支援策が行き届かず保育士の流出が起きているなどの理由で、申し込み数に対して受け皿の確保が追いついていないことで、待機児童が生じる自治体もあるでしょう。
そういった地域の状況を見定めながら、より保育園に入りやすい、待機児童が出ていない自治体を探して転居するといった世帯も一定数いるようです。
また、指数の項目や配点も自治体によって大きく差が生じるので、転居の予定がある際は、指数表をよくチェックしてみるというのもポイントでしょう。
優先的に保育園に入園できる職業があります。それはズバリ、保育士です。
これは2017年に厚生労働省が発出した「子育て安心プラン」の「6つの支援パッケージ」において、保育人材の確保のための方策のひとつとして全国に通達されました。
そのため、配点は自治体によって異なりますが、保育士として勤務している場合は加点対象になり、入園に有利になることは間違いないようです。
ほかにも、医師・看護師や公務員として勤務している場合でも加算対象になる自治体がありますので、該当する職業の場合は確認してみましょう。
認可園に入るために、さまざまな手段を駆使している家庭があるようです。
そんななかで、まことしやかに流れてくる保活のウワサを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
以下では、保活でよく耳にするウワサについて取り上げます。
これは間違ったウワサのようです。
保育を受ける権利は、正社員にもパートにも等しくあると考えられており、雇用形態とは関係ありません。判断基準は「勤務時間」です。
そのため、「月の勤務日数と勤務時間」が入園においての重要事項となり、パートでも条件を満たす日数や時間で働いている場合は、保育の対象として優先されます。
また、求職中に関しては、まったく受け入れられないことはありません。基準指数表においても「求職中」に対して配点されている自治体も多くあります。
また「現在は就労していないが内定済み」「開業の予定がある」という場合も、就労証明書に該当する書類提出ができれば加算対象となります。
4月入園の申し込みはその限りではないようです。
たしかに、保育園の申し込みは「生まれてから」が原則になってはいます。
しかし、4月入園の申し込みは、だいたい前年の10月から12月に行なわれる自治体が多いため、この申し込み時期より後に生まれた子に関しては「仮申し込み」という形式で、出生前の申し込みを受け付けていることがほとんどです。
ここで注意したい点は、子どもが生後57日以内は、労働基準法によって母親の就労が禁止されているため保育園入園ができないこと。
また、上記の所定日数を過ぎている場合でも、園が定める受け入れ年齢から外れる場合があることです。
たとえば、10月20日が申し込み締め切りの自治体で、11月1日出産予定日の子を翌年4月に0歳児クラスに入園させたい場合、出生日が申し込み締め切りに間に合わないため「仮申し込み」として、妊娠中に申し込みしておくことができます。
ただし、希望している保育園の受け入れ開始年齢が「生後6カ月以降」だった場合、たとえ第一希望の園に空きがあったとしても4月入園は不可能ということになります。
また、出産時期が予定よりも遅れたために、実際の出生日が要件に満たなかった場合は、たとえ内定が出ていても取り消しになることもあります。
仮申し込み制度を設けているか、設けている場合の必要書類なども自治体によって異なりますので、早めの確認が必要です。
待機児童が多い自治体では、保育科の窓口で交渉する保護者の姿を見かけることがあるかもしれませんが、これらの行為は入園選考にはまったく影響がないと言えます。
認可保育園は、自治体が入園に関する決定権を握っていますが、それは窓口の担当者など個人が左右できるものではありません。
全国共通で、保育が必要な家庭を平等に選考するため指数が高い順に点数制で入園が決まるシステムが確立されています。また、必要書類提出などで、選考基準にあいまいな点が一切ないように定められています。
ほかにも、入園申し込みに嘆願書を添付したというケースも耳にしますが、基本的には嘆願書の有無も選考には影響しません。
しかし、指数が同数になった場合に参照される「優先順位」が適応される際に、その自治体の基準に沿った内容の嘆願書を付けていれば、真偽を確認したうえで判断されることもあるかもしれません。
認可保育園であれば、ウワサと言って間違いないでしょう。
なぜなら、認可園では園長や職員だけでなく、経営母体である企業や法人であっても入園を決める権利を持っていないからです。
入園の選考は、提出書類の指数計算に基づいて自治体が決定し、保育園はその決定を覆したり拒否したりすることはできないシステムになっています。
これは、認可園であれば、全国どこであっても、公立・私立いずれでも同じことですので、ウワサに惑わされないように気をつけましょう!
保育園に入るには、さまざまな条件を自分に有利にさせる工夫はできますが、絶対入園できる!といった裏ワザはないのが現状といえるでしょう。
入園時期や指数の加算などを工夫しながら、できる範囲で無理のない保活を進めていきましょう。
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