横浜市では、認可保育園への入園選考でランク制を採用しています。就労状況(内定含む) などで世帯ごとにA~Iのランクに振り分けられます。Aが最も優先度が高いランクとなります。
このランクだけでなく、ほか自治体でも採用されている「調整指数」による点数計算を組み合わせて、入園選考を行なっています。
そのため、競争率の高い園を第1希望にしているような場合は、世帯ランクがAにも関わらず、調整指数によって入園できないことがあるといった現象も起きているようです。
過去のデータから、待機児童の状況を把握しながら、保活のヒントを見つけていきましょう。
横浜市は、待機児童数だけでなく「保留児童」の数も公表しています。この保留児童について知ることが、横浜市で保活を進めるキーポイントとなるかもしれません。
待機児童と保留児童の違いは、以下のように説明できます。
待機児童が、保育園に入園できなかった人数から「保護者が求職活動をしていない・育児休暇を延長している」「認可外保育園などの保育サービスを利用している」人数を除外してカウントしているのに対して、保留児童は、市が内定を保留したすべての数を表しています。
ただし、横浜市では保留児童に関しても保護者が「育児休暇を延長している」場合は、保育の必要性がないとして、保留児童数にはカウントしていません。
以下では、2023年度の横浜市の待機・保留児童の数を見てみましょう。
2023年4月 |
対前年比 |
|
申請者数 |
74459人 |
921人 増 |
保留児童数 |
1755人 |
108人 増 |
待機児童数 |
10人 |
1人 減 |
上記の表を見ると、横浜市では待機児童として数えられていないものの、認可保育園を希望したにも関わらず入園できなかった家庭が多くあること、さらに前年より増加していることが分かります。
この保留児童数は、待機児童10人も含まれた数です。
上記の1745人が待機児童数に数えられなかった理由には、認可外保育園などの施設に預けている、保護者が求職活動中であるなどの状況が推察できます。
待機児童とランクごとの関係を見てみましょう。
ランク |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G以下 |
待機児童数 |
1 |
0 |
4 |
3 |
0 |
2 |
0 |
ランクとしてはC・Dの待機児童が全体の7割以上と最も多いことが特徴的です。入園にはB以上のランクを確保しておくのが得策と言えるでしょう。
とはいえ、この結果を見ると、Aランクであっても待機児童になる可能性があることも分かります。
これは、申請時に希望園を一択でしか提出しない、また一定の年齢の応募が人気園に集中してしまうことなどが理由として挙げられるのではないでしょうか。
前述した、一定の年齢・クラスに応募が集中した可能性について見てみましょう。
特に2023年4月入園の申請は、前年に比べて総数が増加していますが、なかでも1歳児の入園希望が559人増・2歳児が93人増と大幅に増えています。
なお、前年度比で増加したのはこの2層のみです。
これを踏まえて、以下では年齢別の保留児童の割合をグラフにしました。
このように、育児休暇が終了する1歳児・育児休暇を延長できる期限を過ぎた2歳児が保留児童全体の7割以上を占めていることが分かります。
なお、この割合は待機児童においてもほぼ変わらない割合を保っています。
これらを見ても分かるように、横浜市で2歳以下の未満児を認可保育園に入園させたい場合は、0歳児クラスからの保活を視野に入れることが必要になってくるかもしれません。
横浜市には18の行政区があります。ここでは区ごとの待機・保留児童数を見てみましょう。
下の表では、保留児童が多い順に上から並べています。
区名 |
保留児童数 |
待機児童数 |
施設数 |
港北区 |
425 |
1 |
154 |
戸塚区 |
273 |
1 |
99 |
神奈川区 |
225 |
1 |
87 |
旭区 |
218 |
1 |
70 |
青葉区 |
213 |
0 |
90 |
港南区 |
209 |
2 |
63 |
都筑区 |
189 |
0 |
68 |
磯子区 |
163 |
1 |
47 |
緑区 |
154 |
0 |
64 |
南区 |
147 |
2 |
48 |
鶴見区 |
137 |
0 |
113 |
保土ケ谷区 |
137 |
0 |
56 |
西区 |
133 |
1 |
41 |
栄区 |
133 |
0 |
26 |
金沢区 |
122 |
0 |
45 |
瀬谷区 |
121 |
0 |
33 |
泉区 |
119 |
0 |
47 |
中区 |
105 |
0 |
45 |
横浜市の中でも、飛びぬけて保留児童数が多いのが港北区です。
新横浜駅があり複数の路線が利用できるなど交通アクセスがよいこと、スタジアムやショッピングモールもあり住環境が充実していることからも、子育て世帯からの人気が高く激戦区となっているようです。
出典:令和5年4月1日現在の保育所等利用待機児童数について/横浜市
上記のようなデータをもとに横浜市が公表している保活の傾向によれば、希望する園の数が多い世帯がより入園が決まりやすいとされています。
裏を返せば、単願応募の世帯が入園保留となる傾向が高いということになります。
この裏付けとして、保留となった申請者の74.6%が、自宅から希望園と同一方向にある他の園を選択していなかったということが指摘されています。
それに限らず、保留児童となった希望者のなかには、認定こども園や同⼀法⼈の園のみを選択した世帯や、⾃宅近くの園のみに絞り込みして申し込むといったケースも散見されるようです。
このような結果からも、特に入園希望が集中する年齢では、範囲を広げてできるだけ多くの園を選択肢に入れることが保活を有利に進めるポイントになると言えるでしょう。
出典:データから見る保育所等申請のヒント~横浜市保留児童対策タスクフォース分析結果から~/横浜市
横浜市では、認可園の単願が保留児童になる率が高いとして、認可園以外の選択肢を持つよう呼びかけています。
それらの対策として充実させているのが、さまざまな保活サポートなどです。
横浜市では、行政区の区役所に保育・教育の専門コンシェルジュが常駐しています。
認可をはじめ横浜市のすべての保育サービスの利用に関する相談や、保育所に入所できなかった方へのアフターフォローなども行なっているようです。
また、ウェブサイトから横浜市の一部の認可保育園の園見学の申し込みができるサイトなどもあり、保活サポートが充実しています。
横浜市が独自の基準で運営している保育園が「横浜保育室」です。これは、東京都でいう「認証保育園」にあたる制度と考えてよいでしょう。
基本的には認可外保育園となりますが、横浜市が設定した設置基準などをクリアしていることで、保育の質に対する信頼度も保証されていると言えるでしょう。
同様の施設は「川崎保育室」として、隣接する川崎市にもあります。横浜市と川崎市の提携により、これらは両市内のどちらかに在住であれば、相互に利用可能です。
ほかにも、自治体ごとに年度で取り入れている年度限定保育事業(期限付き預かり事業)、乳幼児一時預かり事業、会員登録制の一時預かり事業「横浜子育てサポートシステム」なども利用できます。
横浜市は、子育て世帯の目線による待機児童対策や、保活サポートが手厚い自治体のひとつと言えるでしょう。
横浜市で保育園に入るには、市や区のサポートや保活情報を最大限利用しながら保活を有利に進めたいですね。
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