「中央区は保育園に入れない区」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。ここでは中央区の待機児童数の変遷を見ながら、中央区の保活事情の現状について解説します。
中央区の待機児童のピークは2017年。全国的に待機児童が社会問題にもなった時期でしたが、中央区でも待機児童が324人と拡大しました。
その後、待機児童数は少しずつ解消し、2018年には188人にまで減少しました。しかし、その後の待機児童数は減ることなく2020年には再度上がって202人に。
中央区は「認可保育園に入れない街ナンバー1」として名を馳せることとなりました。
「認可保育園に入れない街」を改善すべく、中央区は待機児童対策に本腰を入れました。
その成果もあって、2021年の待機児童数は200人超からなんと85人にまで減少。さらに翌年の2022年、続く2023年には2年連続での待機児童ゼロを達成したのです。
それと並行して、少子化による申し込み総数が減少傾向をたどったこともあるでしょう。2023年4月の認可保育園への一次申込者数は1528人と、前年比で203人減少しています。
つまり「保育園に入れない中央区」は過去の話。現在は、区の尽力もあり待機児童問題が解消され安心して保活ができる区になりました。
しかし一方で、2024年以降の中央区の保活を不安視する声が上がっています。その理由については、以下で触れていきましょう。
今後の中央区の保活におけるキーポイントと言われているのが、晴海と勝どきエリアです。
この2つの地区はともに大規模マンションが建設され、2024年から入居スタートするため保活激戦区となることが見込まれています。
特に晴海は、2021年に開催された東京五輪の選手村跡地に約5600戸もの大規模マンションが建設され、2024年1月からの入居開始を予定しています。
入居は段階的ではありますが、最終的には約12000人の流入が見込まれているようです。
また同時期に、勝どきでも約2700戸の大規模マンションの入居が始まります。こちらは5000人ほどの入居見込みとなっているとのことです。
この2カ所は、いずれも主に若いファミリーをターゲットとした住宅ということもあり、子育て世帯の大幅な流入を見込んで、晴海に2園、勝どきに1園と、合計3園の認可保育園が新設されます。
しかし、区民からはこの3園の受け皿数に対する不安の声が多く上がり、中央区は急きょ4月入園の選考請開始直前の10月に、3園すべての受け入れ人数をそれぞれ拡大する対応をとりました。
この迅速な対応には「子育てに対する中央区の本気が見える」といった声がある一方、受け皿確保に対しての見積もりの甘さや、対応が後手に回ったことへの不満を唱える声も出ているようです。
また、拡大後でもまだ受け皿が足りていないのではないかといった声も聞かれます。
特に莫大な入居者数を予定している晴海は、駅などへのアクセスが不便なことも懸念され、居住エリア内の新規園2園へ応募が集中する事態は避けられないのではと言われています。
晴海エリアのマンションは、もともと2023年の入居開始予定でした。
コロナ禍の影響で流入が次年度に後ろ倒しされたことによって、2023年度は棚ぼた式に待機児童ゼロが維持できた、との見方もあるようです。
これに関しては予測の域を出ないことではあるでしょうが、今後の中央区の保活事情は必ずしも安泰と言えないのではないか、という見立てがあるのは事実のようです。
中央区の待機児童数は、今のところ2年連続ゼロという快挙を達成しています。
しかし、これから保活をはじめる場合は、ある程度の対策をする必要性が出てくるかもしれません。
子どもの年齢や転居タイミングによりますが、前章で紹介した新規流入組の中には、入居前後に近隣の認可外保育園へ一旦入園し、次年度以降に認可園への入園を狙う家庭が出てくることが予想されます。
中央区では、保活をするうえで必須の「調整指数」について、区内だけでなく他区の認可外保育園を利用した場合でも最大3点の加算となります。これは転入組にも有利と言えます。
そのため、エリアによっては認可外保育園を活用することが保活成功のカギとなるかもしれません。
たとえば倍率の高い1歳児から2歳児のうちは認可外園を利用し、入りやすくなる3歳児以降に加点を持って希望園への転園を狙うのを、ひとつの手段として考えてみてもよいでしょう。
とくに流入世帯が増えるエリアでは、1・2歳児の隠れ待機が認可外に集中する可能性も。人気の認可外は早めにおさえておくのが、2024年5月以降のかしこい保活かもしれません。
これから中央区への転居を予定している方も、以前から居住していて今後保活を始める方も、中央区の保育園事情は、今後の人口数や都市開発に大きく左右されることは避けられないでしょう。
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