2019年から施行された全国共通の施策「幼児教育・保育の無償化」により、3歳から5歳までの幼稚園・認可保育園・認定こども園などを利用する子どもの施設利用料は所得制限なく免除されます。
また東京都では、0歳児~2歳児も第2子以降であれば保育料が免除になる施策が2023年10月より始まっています。こちらも所得制限や第1子の年齢を問わず適用されます。
いずれの場合も、給食費・間食費・行事費・教材費・制服費などの諸費用は別途支払う必要があります。また、延長保育料は無償化の対象外です。
なお、第1子が3歳児未満で第2子以降の子が入園した場合でも、保育料無償の対象となるのは第2子のみですので注意しましょう。
前章で説明したように、東京都で保育料が発生するのは第1子にあたる0歳児から2歳児です。
この年齢の子が認可保育園・認定こども園に入園する場合の保育料は、世帯の所得に応じた住民税所得割額によって決まります。また、保育料の金額は自治体によって異なります。
自分の世帯の所得割課税額は、各自治体の市民税を管轄する部署から届く「住民税決定通知書」で確認することができます。
通知書は毎年5月から6月頃に発行されます。会社員は勤務先から渡され、自営業であれば自治体から郵送で届きます。
自分の世帯の保育料は、この所得割課税額を自治体ごとに設定された「階層」と照らし合わせて決定します。世田谷区の階層は、以下の表で確認できます。
この保育料の階層に合わせた保育料の決定は、毎年4月と9月に行なわれます。4月のクラス年齢変更時にまず決定し、9月には年度に応じた最新の課税額に準じて見直されます。
たとえば、4月入園時点では前年度の課税額で算出されますが、入園と同時に時短勤務制度を利用するなどして収入が減った場合は、その年の9月に改めて階層が見直されることになり、保育料が下がることもあります。
世田谷区では、毎年4月入園の階層分布が公表されています。
ここでは、2023年の分布グラフを見てみましょう。
2023年4月入園の世田谷区のデータでは、D5-D7の階層に分布する利用者が最も多く、ついでD21-D24となっています。
このうち最も多いD7は所得割課税額の世帯合計が16万2000円~20万2000円で、家族構成が両親・子ども2人を想定した場合の収入目安が、約700万円と推測される層です。
この階層であった場合の第1子の保育料は、0歳~2歳児では標準時間で月額29700円、短時間保育の場合は29200円となります。
出典:(R5年度)07 認可保育所利用者の保育料階層の分布/世田谷区
国の無償化制度と、対象外となる世帯・子どもの保育料の確認方法を見てきました。
ここからは、世田谷区での年収例での保育料シミュレーションについて一例を取り上げます。また、給食費の扱いについても解説します。
0歳児~2歳児が認可保育園などに入園する場合、前章の階層分布のボリュームゾーン近辺の年収帯で、おおよそのシミュレーションをしたのが以下の表です。
前章の予測にならい、両親・子ども2人を想定した家族構成でおおまかに算出しています。
世帯年収 |
年収内訳 |
階層 |
保育標準時間 |
保育短時間 |
500万円 |
300万円・200万円 |
D6 |
27000円 |
26600円 |
800万円 |
500万円・300万円 |
D10 |
50000円 |
49200円 |
1000万円 |
700万円・300万円 |
D20 |
58500円 |
57600円 |
年収と階層の関連は、社会保険料や介護保険料、扶養控除などの額で大きく変化しますので、上記の表はあくまで参照としてください。
また、課税額は同じ年収額であっても、加入している各種保険、個人型確定拠出年金やふるさと納税などの兼ね合い、居住自治体によっても大きく異なりますので、正しい額は住民税決定通知書で確認しましょう。
世田谷区の2023年現在の給食費は、区立保育園では4500円と一律で定められています。私立保育園は園ごとに異なりますが、おおむね4000円から5000円前後が主となっています。
ただし以下の世帯・子どもに関しては給食費が免除されます。
・世帯年収760万円未満相当の世帯(保育料の階層がA・B1・D1~D9に該当)
・同一世帯内での小学校就学前の兄弟姉妹の中で、上から3番目以降の子ども
・里親世帯の子ども
また、副食費に関しても園によって定められていますが、園によって延長保育の際に副食が提供される場合もあるようですので、利用時間や園によって大きく開きがあるようです。
世田谷区の保育料について、国による幼保無償化の基礎知識、階層についての基本と2023年の利用階層分布、年収例のシミュレーションなどを解説してきました。
年収によっては認可外園に通う方が保育料が安くなることもあるようです。園を選ぶ際には、改めて保育料の面からも検討することが保活においては大事かもしれません。
育児休暇、時短勤務などで年収が大きく変化する時期でもあります。自分の世帯の所得割課税額を確認しながら保活に臨みましょう。
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